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続・わたくしの宝もの 13_台風の道
9月に入って台風の季節がやってきました。
思い出すのは、福井でわたくしが女学校を出た年に来た大きな台風のこと。
うちも、お隣さんもお向いさんも通り沿いのお家の瓦屋根が片側だけザザーッと落ちたの。
台風というのは〝道〟があるんだわって妙に感心したわ。
その時はゲタが浮き上がるくらい水も上がってきてね。
うちの近くには大川と呼んでいた川があったのだけれど、
水かさが増して河原まであふれたの。
そこの河原は、以前お話しした「ヨメナ」を摘んだり、レンゲの花が咲いていたり
春の時期はとてもいいところなのだけれど、台風の頃は恐ろしい場所になったものよ。
川といえば、季節はちょっと戻るけれど、たらい舟に乗って遊んだことを思い出すわ。
木のたらいに乗って川の向こう岸とこちら岸を行って帰って行って帰って。
両手で水をかいて漕ぐの。乗るのが案外と難しいのよ。
きちんとまん中に均等に座らないと、くるっとひっくりかえっちゃうんだから。ほんとうにお転婆だったわよね。
蔵の屋根から本家の屋根に飛び乗って、弟たちとチャンバラもやったっけ。片やお琴も習ってお行儀のお勉強もしていたのよ。
いい思い出です。
《瓦飛び 嵐の行き道実感す》

社内で100歳の
お祝いをしてもらいました
H28.09.05号より