続・わたくしの宝もの 15_弟のはなし
収穫の秋ですね。
故郷の福井はお米の出どころなのはご存じかしら? 黄色い穂がたくさん実るのよ。
実家は街中だったから近くに田んぼはなかったけれど、おいしいお米をたくさん頂いてきました。
初夏に漬けたウメボシをお供にしたり、たくわんもあったわね。11月になると大根を蔵に連ねて干してから糠といっしょに漬けるの。
大根が干してあったあの風景が思い出されるわ。
さて、前回は兄のはなしをさせてもらったから今週は弟のはなしにします。
わたくしは7人きょうだいなのだけれど、7人もいればいろいろいるわね。
わたくしも誉められたほうじゃないけれど、勉強があまり得意でないのが一人いたのよ。
3番目の弟は工作や絵画はよく出来て、展覧会にも推薦されるのだけれど、計算や漢字の書き取りはさっぱり。
とにかくユニークな子でね。夏休みに行った芦原温泉では、内緒だけれど寝小便もしたのよ。
ポケットがやたら膨れているから不思議に思っていたら、外で捕まえたカエルがぎっしり。
部屋で放りだして両親から大目玉、なんてこともあったわ。
賑やかだったけれど、いたずらっぷりには手を焼いたわね。
一番下の弟は高校の先生になりました。
北陸高校の野球部の監督を務めたのだけれど、つい手が出ちゃったようで「暴力教師」なんて言われていたの。
「こんなものは暴力じゃない。暴力ってのはなあ…」といいながら
また手を上げるふりをしながら生徒の輪に溶け込んでいたようよ。
時代が時代だから許されたのかもしれないけれど、在校生からはとっても慕われてね。
退任したあとの集まりには多くの生徒さんがいらして下さったと聞いています。
《ビスケット じゃなくて残念 カエルの大群》

食欲の秋全開。
山盛りのブドウも平らげます。
H28.10.17号より