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続・わたくしの宝もの 21_大黒ばあさんとのお仕事
今日はまた、大阪・堺にいたころのはなしにするわね。
終戦直後はみんな働きものだったのだけれど、わたくしも内職の仕事で家計を助けたのよ。
内職を配って歩く木村さんというおばあさんがいらしてね。
洋服の袖や襟、身ごろをたくさんつめた大きな袋を背負って、お仕事を請け負っている各家庭を回っていたの。
その姿がまるで大黒さまのようだったから、「大黒ばあさん」って呼ばれていたわ。
その大黒ばあさんから受け取った袖や身ごろを手縫いで継ぎ合わせて洋服に仕立てるのがわたくしの仕事よ。女学校で習った縫物の技術が役に立ったわ。
大黒ばあさんはとっても元気な方だったからわたくしも負けずに頑張りました。
ご近所さんにも活気があふれていたのが思い出されます。
洋服だけじゃなくてネックレス作りの内職もやりました。とーっても細かい仕事よ。
糸にビーズを通していくのだけれど、
その途中でピーンと外れてバラバラになるなんてことがしょっちゅうあったの。
ビーズを大中小に分けて通していくのにも苦労したわ。
わたくしが内職をしていること、主人は不本意だったと思うのね。
だから目の前で広げたことはないの。
帰ってくる靴音が聞こえると、パッと片付けて知らんふりをしました。
主人にひがませたくない昔の女性の奥ゆかしい思いやり。
そんな暮らしをしていたときもありました。
《大袋 かついで稼ぐ 大黒ばあさん》

今日のお昼はサンドイッチです
どちらから頂こうかしら?
H28.12.05号より