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続・わたくしの宝もの 30_ピアノとの出会い
わたくしとピアノの出会いは、保母学校に入ってからのこと。
お琴を習っていたけれど、洋楽器は初めてだし、楽譜を見るのもこれまた初めて。
不安を覚えてもいたけれど、
鍵盤の位置はすぐに覚えられたからドレミファから練習したわ。
バイエルを皮切りに、「ご挨拶のうた」「春が来た」などの童謡に進んでいくの。とにかく練習が一番だと思って、少し早く登校してピアノを確保するなんてこともしていたわね。
家でも練習したいとせがんだら、オルガンを買っていいと許されて銀座の山野楽器に出かけていったこともあったっけ。
器楽の先生は上野の東京芸大ご出身で、とっても厳しかったの。
試験があるから頑張ったのだけれど、
その結果はわたくしのことだから無難に中間ぐらいだったかと思います。
そういえば声楽の先生も立派な方だったわ。
丸く太った男の先生で、アルトの歌声。素晴らしくいいお声だったから
思わずほろっとしちゃったぐらいよ。
それから、保母学校の同級生にグリーンの袴をはいたお友達二人組がいらしたの。
グリーンの袴がどういうものかご存知?
宝塚音楽学校の象徴なのよ。
お二人とも宝塚歌劇団のファンでしょっちゅう、観劇に行ってらしてね。
わたくしは田舎者の学生だから当時は宝塚なんて知らなかったけれど、
二人がとってもおしゃれに見えたし、学生たちからも羨望の的でした。
わたくしは母が作ってくれた紺色と海老茶色の袴を誇らしくはいていましたけれども。
《グリーン袴にピアノの音色 保母学校の眩しき日々よ》

当時は宝塚歌劇団が羨望の的だったの
H29.03.27号より