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続・わたくしの宝もの 35_六郷の原っぱ


梅雨に入ってお湿り真っ盛り。

5月の頃は木々が青々としていて気持ちが良かったわ。

キラキラと輝いていて、青春時代を思い出すの。

そうね、多摩川沿いの六郷の原っぱによく遊びに行った話はしたことがなかったわよね。

保母学校の時のこと。お昼を済ませたあとの午後2時、3時頃だったと思うわ。

春から夏にかけたこの時期は友人みんなで連れ立って、原っぱに寝転んでおしゃべり三昧だったの。袴姿だったけれど平気平気。目の前に青空が広がって気持ちがとても晴れ晴れしました。

確か写真があるのよ。探して今度お見せするわね。

六郷の原っぱは、春はタンポポ、秋はススキが生い茂ってね。

川の向かいの川崎側にはレコード会社の日本コロムビアの工場が見えました。

原っぱからの帰宅は、贅沢なことにタクシーに乗っていたの。

今だから言ってしまうけど、1台の車に6~7人詰め込んで乗っていたのよ。

交番の前を通る時には運転手さんが「頭ひっこめて!」って指示してくれてね。

みんなでキャアキャア言いながら頭を下げたりなんかして。

若さと勢いに任せて、そんな悪いこともしていたのよね。

わたくしの思い出の中の六郷は、穏やかで、ゆっくりと時が流れる静かな原っぱです。あの頃は学校に通ってはいたけれど、遊ぶことにも一生懸命でした。

まだ戦争が始まっていないから平和でもありました。

《原っぱに寝転んで 視線の先にはコロムビア》

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H29.06.26号より


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