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続・わたくしの宝もの 42_順花幼稚園


前々回、Dくんのことを思い出していたら、

わたくしの幼稚園時代の記憶もよみがえってきました。

わたくしが通ったのは順花幼稚園というところ。

そのころは幼稚園に通う子どもがめったにいなかったものだから、幼稚園自体が近所になくて、越境しました。

着物に真っ白の長い前掛けをつけるのがいわゆる制服ね。

前掛けの長さは足首まであって、首のところで紐をきゅっと結んでひっかけるの。袴は小学生になってから着るものなのよ。

そのころ、兄は小学生。

同じく越境して順花小学校に通学していたからよく2人で一緒に通ったものです。

ある朝、兄が福井城のお濠で魚を取るといってわたくしにかばんを預けて

「お前はここで待っていろ」と言いつけました。

わたくしは重たいかばんを持たされて立ちつくすばかり。早く幼稚園に行かなきゃいけないのに、寄り道なんてしているものだから気が気じゃなくて。

その後、そんなことが何遍も続きました。

幼稚園の担任は祝井(いわい)先生。

お遊戯のお稽古では、わたくしが同じところで何度も間違うからよく怒られました。

結局、お遊戯会には出してもらえなかったのよ。

よほど悔しかったから今でも先生の名前を覚えているのだと思うの。

女学校まで一緒だった駅前の洋服屋さんの谷口さん、同じ帰り道の橋本かっちゃん、お友達も大勢いました。

卒業して大分たって保母になったわたくしは、この順花幼稚園でも働きました。

麦のヒゴに色を付けて、間に花の色がみを入れて飾り物を作ったり、折り紙をしたりしましたね。

思い出がたくさん詰まった順花幼稚園。今もあるのかしら。

戦争があったからどうでしょうね。

《カバンの重さにいらだち募る 兄だけ楽しい ジャコすくい》

H29.09.04号より


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