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続・わたくしの宝もの 48_運命ケセラセラ
3歳違いのすぐ下の妹はちょっとした美人でした。
番匠小町と呼ばれた母に似て、色が白くて全体的に可愛らしくて。
だから周りが放っておきません。男の人から恋文をもらっているのはしょっちゅう。近所の人たちからもはやし立てられていました。
そんな妹を心配した両親は、妹が学校を卒業するとすぐに結婚させました。姉のわたくしよりも早くに、です。
わたくしは父に似ていますから妹のようにはいきません。
勉強を頑張るしかないと思いました。その考えは図らずも両親と一致していたようで、東京の保母学校に行きたいと願い出たとき、それほどの反対もなく送り出してくれました。
今だからいうけれど、わたくし、偶然聞いてしまったのです。
夜、きょうだいが寝静まったあとに両親がわたくしのことを話し合っているところを。わたくしは不美人だから教育をつけなきゃダメだと話しているところを。ショックはショックだったけれど、美人でないのは事実だから静かに受け止めました。
自分でいうのもなんだけれど、当時から器が大きかったのね。
早くに結婚した妹だったけれど、すぐに戦争が始まって、戦地に赴いた旦那さまは帰らぬ人になりました。幸いなことに身ごもっていたから、娘を一人産みました。
それから再婚もせず、ずっと一人でいました。
《色白で 可憐な妹 自慢のきょうだい》

わたくしの不注意でちょっとした怪我をしてしまいました。
出血したので周囲を慌てさせましたがご覧のとおり、絆創膏で済んでいます。骨にも異常ありません。いろいろ検査をしてもらって、どこも悪くないとのことでした。
気を付けなきゃいけませんね。
H29.11.13号より