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続・わたくしの宝もの 64_浦島太郎と松尾大佐


小学校2年生のとき、学校の出し物で「浦島太郎」をやることになりました。

わたくしはありがたいことに「乙姫さま」という大役を頂戴しました。

その頃はわたくしも色が白くて可愛らしかったからのようです。

ピンク色の薄い生地を首に巻いて、たいそう張りきりました。

主役の浦島太郎は、松尾清子さんが演じました。

松尾さんは陸軍大佐のお嬢さん。学校の敷地が松尾大佐の持ち物だとか、嘘か誠か、

そんな噂も流れるなかでの主役就任ではありました。

でも大佐って、やたらにいらっしゃるものじゃないのよ。

県に一人、二人という選ばれた方なのです。

松尾大佐は学校のお祝い事があるたびに勲章のついた軍服姿で出ていらっしゃって威厳たっぷり。立派なお髭は今でもくっきりと覚えています。

鯖江36連隊の連隊長でもありました。

年頃から見て、日露戦争にもいらしたのではないかと思います。

清子さんはそんな立派な方のお嬢さんだけれど、

お父さん同様、ちっとも偉そうにしていなくて、とっても良い方。

髪が長くてお下げにしていて、気持ちだけでなく、容姿もお綺麗な方でした。

のちに松尾さんは東京で結婚式を開かれて、わたくしもお会いしました。

今聞けば、旦那さまがご立派な方で、小説の主人公としても描かれたのだとか。

「不毛地帯」だったかしら。

会社の皆に言ったら驚かれたけれど、わたくしにとっては小学校時代に肩を並べて学んだ仲の良い友人の一人。損得のない美しき時代が思い起こされます。

《つつましく 謙虚でありたい なん時も》

本日のおやつはワッフルです

H30.6.4号より


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